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■宇宙巡光艦ノースポール 第5章.水星 [補足-1] 木星君とディーバちゃん ノースポール艦内、バーラウンジ。 宇宙亭の一つ下のフロアの、ちょっとお洒落な寛げるスペースです。宇宙亭でもお酒は飲むことができますが、役割としては食事がメイン。それに対してバーラウンジは飲物がメインなんです。まあ、お酒ですね。あ、サンドイッチやハンバーガーなどの軽食もオーダーすることができます。内装はノースポール・プロジェクトお得意の、天井から床までの大きな窓に囲まれて、照明も暗め。フロアの中央が少し低くなっていて、グランドピアノも置いてあるんです。席は窓際と壁際に座れる席もありますが、基本は立食で、椅子なしの背の高いテーブルが何脚か配置されています。 えーと、実は、今日、約束してたんですが、ハア、打合せが伸びてしまってですね、ハアハア。 えっと、や、やっと着きました、ハアハアハア。 えっと、愛甲さんは、あ、いました。 「ごめん、遅くなっちゃった。」 「あ、大丈夫ですよ。ここってなんか、ずっといても平気な感じなんで。」 愛甲さん、早く着いたので飲物をもらって1人で先に寛いでいたようです。 そうなんです。雰囲気が落ちついているので、とても人気があるんです。ゆっくりお酒を飲みながら、静かにお話しする感じですかね。 「あ、すみませーーん。」 って、池上さん、トーン抑えて抑えて。ヒールの音も軽やかに、すごい勢いで走ってきました。 「す、すみません。」 池上さん、周りの人に謝ってます。ていうか、謝られた周りの人も笑顔で見てますけどね。 というわけで、私も池上さんも飲物をもらってきて、ひとまず乾杯しました。 『お疲れ様でーす。』 いやー、仕事の後の一杯は、全身に染み渡りますね。んー、乾杯と言えば私はスパークリングワインですね。家で乾杯するときは大抵、シャンパンを用意してくれてありました。池上さんはフルーツベースのカクテル、愛甲さんは・・・、ワイングラスのような柱のある少し太めのグラスに透明なお酒が入ってます。 「えっと、日本酒です。」 「おーっ。」 愛甲さんて、沢山飲める人なのでしょうか。 「実家の近所に酒蔵があって、毎年、新酒を分けてもらってたんです。なので、家族はみんな日本酒派なんです。」 なるほど。地方はその土地土地で美味しい物があるからいいですよね。東北はやはり、お米ですか。お米が美味しいということは、良いお酒も出来る。別に理屈ではないのですが。 というわけで、前置きが長くなってしまいましたが、なぜ、今日、このメンバーで集まったかというとですね、まずは、愛甲さんから報告なのでした。先日の水星上陸のイベントについてなのですが、予定通り、ノースポールのみんなで水星に降り立ったのと同じタイミングで、東京でも水星沼の仲間の方たちが集まって、水星の観望会を開いたそうなのです。 もちろん、高尾山の山頂から、東の空に低く輝く水星をバックに記念撮影をしています。時刻を見ると、ほんとに、同じタイミングなんです。同じ時間に、私たちは水星から地球をバックに、そして、地球からは水星をバックに記念写真を撮っていたのです。この時、地球と水星の間は4億Kmほど離れていたはずなのですが、2つの場所で同じことをしていたのです。水星で撮った写真と、地球で撮った写真は、つながっているのです。 すごいです! もちろん、その、地球で撮られた写真は、ノースポールの艦内ウェブサイトに貼らせていただきました。私たちが水星で撮った写真と一緒に。当然、地球の水星沼の方たちのウェブサイトには、私たちが水星で撮った写真が貼られたのでした。うーん、意味があるかどうかはわかりませんが、宇宙を舞台にしたなんとも壮大なイベントだったのでした。もしかしたら、人類史上初だったりして。 そして、話題は、あの『水星君』に。 「で、どうだったですか、返事は?」 「今はちょっと忙しいけど、来月くらいで良ければ取りかかれそうだってことでした。」 『おーー。』 私、池上さんと2人でハモってしまいました。 「となると、後は私が決めれば良いのか。うーん。」 実は、愛甲さんの、あの、『水星君』が、もの凄く羨ましくて、同じように作ってもらえるかどうか聞いてもらってたんです。 「私はもちろん、ディーバで決まりなので、あとは、不動さんですよ。」 はははっ、そうですよね。池上さんは『水星君』と同じサイズの『ディーバちゃん』にするそうなのです。直径50cmのディーバの縫いぐるみです。それもすごい! 「えっと、表面の地形のデータはもらえるんですよね?」 「もちろんです。いつでも渡せますよ。」 「やったーー、ディーバちゃんだー。」 で、私なんですが、『木星君』にしようかと思ってるんです。初めて望遠鏡で見た惑星が木星なんですよね。その時から宇宙に興味を持っていろいろ勉強し始めたんです。 一応、今の私の原点とも言える星なのです。 「で、大きさどうします?」 そう、そこなんです。『水星君』はスケール1000万分の1で、直径が約50cm。同じスケールだと『木星君』は直径14mになっちゃうんです。 「一応、工房の友達に聞いてみたんですけど、『14mは無理ーーー。』って言われました。」 「はははっ、そうですよね。」 「で、どの位の大きさまでなら作れるかって聞いたら、幼稚園の運動会用に高さ3mのクマさんを作ったのが最高だそうです。」 「へーー、3mってかなり大きいですよね。」 なんか、そのクマさんの周りで子供達がお遊戯を披露したのだそうです。 「じゃあ、不動さんも3mの木星君いきますか?」 ひゃー、池上さん、思い切り煽ってます。 「えー、3mっていったらギュッてハグできないし、そもそも、個室に入んないよー。」 「なんか、3mの木星君にハグって、『モモロ』に掴まって空飛ぶみたいかもーー。」 「あっ、私も見ましたーー。アニメですよね。」 池上さんも愛甲さんも一気にヒートアップです。もちろん、私も見ました。大人になってからもテレビで再放送されると、ついつい見ちゃうんですよね。 「不動さん、3mの『木星君』ならモモロみたいに宇宙のどこにでも連れてってくれるかもですよ。」 「そ、それ、すごいねー。いいかも。」 あのー、ちなみに、『モモロ』というのは私が小学生の時なので、2037年か8年頃に上映されたアニメ映画に出て来るキャラクタですね。毛並みがふさふさのクマかタヌキのような姿をした森の妖精です。このモモロの胸の辺りにしがみついて空中を一緒に飛ぶシーンがあるのです。映像もまさに風を感じながら飛んでいるようで、その時に流れる音楽もとっても気持ちいいんですよね。うーん、なんか、また見てみたくなってきました。確か、ノースポールの映画ライブラリにもあったはずなんですよね。 で、結局どうしたかというと。 「じゃあ、『木星君』は1mで頼んでおきますね。」 「はい、お願いします。」 わー、やったー! 直径1mの木星の縫いぐるみですよ。わーー、来るのが楽しみです。 「1mでもかなり大きいですよね。」 「どうしよう、ハグして寝たつもりが、下敷きになって窒息してたりして。」 「その前にきっと飛んでくれますよ。」 「モ、モモロね。」 「はい!『モッモロ、モーモーロッ』って。」 うーん、池上さん、モモロの歌まで歌って、超ハイテンションです。木星君のはずが、すっかり、モモロという呼び名が広まってしまいそうです。ハハハッ、嬉しいけど、私的には『木星君』かなあ。 いつ頃届くのでしょうか。 今からとっても楽しみです。 閑話休題
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■更新履歴 2023/07/02 登録